有栖さん (9j9kkrrf)2025/5/14 18:59 (No.35698)削除【柏原 紫珠】
「……何処なんだ……」( きょろきょろと周りを見渡す。やはり居ない。最近幼馴染の彼女に会えていない。自分が寮長の仕事や部活の仕事等で忙しかったのも有るかもしれない。___あ、居た。………横に居るのは誰何だろうか、なんて嫉妬心を膨らませながら声を掛けれる事もなく彼女と見覚えの無い男子生徒のやり取りを聞いていると『好き』という言葉が耳に入ってきた。彼女の声じゃない。男子生徒の声だ。ぐちゃり、と心臓が押し潰される様な感覚。彼女がもし男子生徒と同じ気持ちだったら?そんな不安な気持ちで頭がくらくらする。数十年にも渡って彼女に隠し続けてきた想い。砂糖をじっくり煮込んだ様な重くて苦くて甘くて恋心はこんな呆気なく終わってしまうモノなのか。 ) 「……」( もし治癒魔法が自分に使えればこの傷も埋めれたのかもしれない。いや、この傷だけは誰にも埋めれないだろう。彼女でなければ意味がない。「…やっぱ幼馴染だもんね、」乾いた笑い声を漏らし寮に帰ろうと彼女の居る方向とは逆にいつもより早歩きで去る。彼女がどうか幸せになれますように__ 。)