「うち大丈夫だよ!! 誰かが笑ってくれたら、それだけで元気になれるから!!」
「大丈夫だよ、丞くんが笑ってくれたら、それだけで……うち、幸せだから」
「あやの前だと、本当のうちでいられる気がする」
🎼 キャットラビング / 香椎モイミ
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「痛いのは嫌いだけど、丞くんの手の平は嫌いじゃないの」
「もしかして今日は、優しく撫でてくれるのかな…??」
「丞くんのソレが耐えられるの、生涯できっとうちだけだよね」
【名前】宵宮 祈莉 (よいみや いのり)
【性別】女
【学年】2年
【種族】妖精
【学科/寮】倫理学科/結心寮
【能力】『不幸咀嚼』
他者に降りかかるはずだった不幸を、己の身に引き寄せて呑み込む──
それが宵宮祈莉に与えられた、静かで残酷な祝福。
宵宮祈莉の魔力は、「不幸」という名の負の因子に強く共鳴する性質を持つ。
それは目には見えず、声にもならず、ただ空気のように漂っている"厄"を、彼女だけが感じ取ることができるという異質な感覚。
能力は常時微弱に発動しており、祈莉の意思に関係なく、近くにいる者の不幸を少しずつ引き受けてしまう。
だが、本来この力は意志によって制御可能な能力であり、「強く念じる」ことで明確な対象を選び、その者に降りかかる不幸だけを吸収することもできる。
誰の痛みを引き受けるか──その選択を、祈莉はいつも静かに胸の内で決めている。
吸収された不幸は、祈莉の髪と瞳に蓄積されていく。
本来、髪は穏やかな暗い茶色、瞳は温かな茜色をしているが──
蓄積が進むにつれ、髪は徐々に明るいクリーム色へ、瞳は透き通るような明るい青色へと変化していく。
それは彼女の命に迫る、静かで確かな警鐘。
その変化が限界に達した時、祈莉は"命に関わる不幸"と強制的に同調し、代償としてそれをそのまま引き受ける。
実際に、彼女はこれまでに二度、死にかけた経験を持つ。
一度目は、許嫁の命を脅かす事故をそのまま肩代わりした時。
そしてもう一度は、実家の名が潰れるような事態──すなわち、家そのものが失われるほどの不幸を引き受けた時だった。
その両方に共通していたのは、「誰かを守るため」という想い。
自らが砕けても、誰かを守りたかった。それだけだった。
また、この能力にはもう一つの厄介な特徴がある。
吸収した不幸を"消費"する──すなわち、他者の不幸を肩代わりする形で現実に放出する際、その不幸は必ず2倍となって祈莉に襲いかかる。
誰かが小指をぶつけて痛がる代わりに、祈莉の小指は折れる。
誰かが転びそうになった代わりに、祈莉は足をひねり、骨を砕く。
"ささいな痛み"さえ、祈莉の中では"深い傷"となって現れる。
それでも彼女は、誰にも文句を言わない。
その苦しみを、誰かの幸せの代価と信じて、祈るように微笑むのだ。
彼女がこの力を最も強く使うのは、ただ一人──
"許嫁"である少年のため。
その理由を彼女は語らない。
けれど、確かなのは、彼女の"祈り"が、常に「誰かの無事と未来」に向けられているということだ。
《特性》
〈不幸吸着〉
他者に降りかかる"厄災"を感知し、自身の魔力を通して吸収する。意図的に対象を選ぶことが可能であり、念じることで特定の相手に集中して力を向けることができる。無意識下では感情的繋がりの強い者が優先される。
〈蓄積容量〉
吸収された不幸は髪と瞳の色として視覚化される。髪は暗い茶色からクリーム色へ、瞳は茜色から明るい青へ変化。限界に達すると命に関わる災厄が訪れる。
〈不幸変換〉
吸収された不幸は現実で"代理体験"することで解消されるが、影響は2倍に増幅されて祈莉の身に降りかかる。
〈対象特化〉
感情的な繋がりの強さに応じて吸着効率が高まり、特定の個人に対しては無意識でも即座に吸収が始まる傾向がある。
《制限》
・能力は微弱ながら常時発動しており、完全に"オフ"にすることはできない。
・蓄積には限界があり、色彩の変化が警告となる。限界突破は即ち死の危機。
・不幸は消えず、解消するには必ず代償を払わなければならない。
・感情的繋がりが強いほど吸収は早く、祈莉の意思に反してでも発動する。
・幸福を生み出す力ではなく、ただ"痛みを肩代わりする"力である。
その祈りは誰にも届かず、
その痛みは誰にも知られない。
けれど彼女は、
今日も誰かの笑顔の影で、静かに苦しみを飲み込んでいる――
まるで、夜の闇に寄り添う祈りの灯火のように。
【容姿】
《月明かりの下、静かに息づく祈りの羽──壊れかけた幻想を身にまとい、それでも微笑む、誰にも届かぬ優しさを持つ少女》
彼女の髪は、まるで光と影が一つに宿ったかのように、左右で異なる色をしている。
左は暗茶。静かで柔らかく、夜の深さを思わせる色。
右はクリーム色。明るく透き通るようなその色は、祈莉が"不幸"を吸い取った代償として変化したものだ。
本来なら誰にも起こらない変質が、彼女にだけ静かに訪れている。
前髪は額を隠しすぎないよう、軽く立ち上げられたポンパドールに整えられている。
華やかではない。だが、清潔感と意志の輪郭を保つようなその形には、自分を律しようとする小さな矜持が滲む。
左右の瞳もまた違う。
左は茜色。穏やかで、どこか人の温度を宿した夕焼けのような色。
右は青く透けている。
その透明な光には、触れた者の苦しみを飲み込み続けてきた少女の、限界すれすれの静けさが滲んでいた。
けれど、誰もその意味を知らない。
彼女の能力──"他人の不幸を吸い取る力"は、学園内では伏せられているからだ。
知ってほしくないのではなく、知られることが怖いのでもなく、「重くなってほしくないから」。
だから祈莉は、自分の変化を説明しない。
笑って「そういう体質なの」とだけ言う。
肌は透き通るように白く、どこか現実味を欠いた印象すら与える。
しかしそれは"生まれつきの美しさ"ではない。
彼女が夏でも決して脱がない長袖の奥には、誰にも見せることのない傷が隠れている。
そのための選択であり、祈莉は自らの身体を、服という名の覆いで護っている。
彼女の耳は人間と同じ丸い形をしている。
だがそれは、生まれ持ったものではない。
本来なら妖精特有の、繊細に尖った耳をしていたはずだった。
それを、許嫁によって奪われた。
『人間らしくしろ』
『僕の隣にいるなら目立たないで』
そんな言葉と共に、祈莉は無理やり整形手術を受けさせられた。
しかも、それだけでは終わらなかった。
手術痕を覆い隠すように、耳には何ヶ所もピアスが開けられた。
祈莉の意思ではない。
許嫁が無理やりピアスガンを手にし、笑いながら言ったのだ。
『……全部僕と同じがいいよね??』
拒否の余地などなかった。
左右対称に、許嫁と同じ位置、同じ個数、同じ金属で。
まるで"所有物"である証のように。
だが今、そのピアスは彼女の仮面になっている。
痛々しい整形の痕も、誇りだった妖精の耳を失った事実も、隠せるから。
痛みを知らないふりができるから。
誰かに「かわいいね」と言われれば、祈莉は少しだけ救われた気持ちになる。
その一言だけで、"自分を守る価値がある"と思えるから。
口元には、常に黒いマスクがかけられている。
飾りでも衛生のためでもない。
その下には、許嫁に殴られてできた多くの傷がくっきりと残っている。
それを知られたくなくて、祈莉はいつも笑う代わりにマスクをつける。
痛みを隠すことで、周囲に安心だけを渡せるように。
喉元には、時折包帯が巻かれていることがある。
首に残る指の痕、それもまた"言葉にされない暴力"の名残。
だが誰もそれを知らない。
知ろうともしないことに、祈莉は少しだけ安堵している。
身長は153cm。小柄で細身。
けれど、簡単には折れない。
誰にも知られぬ強さを胸に抱えて、誰かの苦しみを自分に引き受けながら、今日も静かに歩いている。
あくまで、平然と、自然体で。
──「誰にも迷惑をかけたくないから」
それが、祈莉が唯一声に出せる本音だった。
背には、透き通る淡金色と儚い青白をゆるく溶かした、一対の羽がそっとたたずんでいる。
光を受けるたびに、色は少しずつ揺らぎ、まるで朝露に触れた薄絹のように、静かにきらめきを返す。
その羽は風に乗ればふわりと浮かび上がりそうなほど軽やかで、しかしどこか、見る者の心をそっと締めつけるような寂しさをまとっていた。
けれど、それを見る者は滅多にいない。
彼女はそれを、制服の影に、長袖の下に、日常のふりをした沈黙の中に、きちんとしまい込んでいるから。
「……これだけは、誰にも壊されたくないの」
彼女がふとつぶやいたその声は、風に溶けて、届かない。
──ただその羽だけが、まだ祈莉が"妖精であった証"を静かに語っていた。
祈莉という少女は、あまりにも優しすぎるその心を、誰にも知られないようにして、今日もただ微笑む。
それはまるで、誰かに祝福を渡すために地上に降りた小さな天使のように──
いや、天使のふりをしているだけの、たった一人の、壊れかけた妖精。
【性格】
《雨上がりの空に咲く幻の花のように、脆くも優しく、静かに人を癒やす少女》
🎭「宵宮さんって、ちょっと不思議な子だよね。……でも、なんか安心するんだ」
最初はただ、静かで大人しい子だと思ってた。
でも話してみると、少しずつ表情が変わって、ふわって笑ってくれる。
その笑顔が、何より嬉しくて――なんか、こっちの心まで軽くなるんだ。
空気みたいにそばにいて、しんどい時はさりげなく気づいてくれる。
たぶん、私たちが気づかないくらい自然に、「誰かを助ける」ことが染みついてる子なんだと思う。
❤️🩹「宵宮さんって、さ……"自分のこと"より、他人のことばっかり気にしてる」
いつも、困ってる子のそばに行って、静かに笑ってる。
『大丈夫??』って声に出さなくても、その目がちゃんと伝えてくるんだ。
でもふとした時に思うんだよね。
この子は、自分がツラいとき、誰に頼ってるんだろうって。
誰にも見せないところで、すごく無理してるんじゃないかって。
笑ってるけど、あの目だけ、時々遠くを見てる気がして――それがちょっと、苦しくなる。
💝「宵宮さんって、"ありがと"をよく言う人なんだよ」
誰かに頼られた時、笑って『ありがとう』って言う。
助けられた側が言うなら分かるけど、宵宮さんは逆なの。
『頼ってくれて、ありがとう』『話してくれて、ありがとう』って。
最初はちょっとびっくりした。
でも、何度か言われるうちに気づいたんだ。
あの人にとって、人に必要とされることって……きっと、すごく大事なんだって。
それが嬉しいって思えるなんて、なんて強くて、優しい人なんだろう。
🎓「成績もいいし、欠点が見えない。……でも、祈莉さんは"完璧"じゃない」
たぶん本人は、完璧であろうとしてない。
ただ、誰にも"心配されたくない"だけなんだと思う。
だからいつも笑ってるし、誰かのために動いて、静かに手を差し伸べてる。
それって──優しさじゃなくて、祈莉さん自身が"頼れない"だけじゃないかな。
そう思うたび、どうしてだろう、胸がぎゅっと締めつけられる
🫧「祈莉ちゃんの"優しさ"は、静かに染みるタイプなんだ」
声を張って元気づけるわけじゃない。
でも、そばにいると、気づいたら息がしやすくなる。
あの子は、たぶん誰よりも"孤独"を知ってるんだと思う。
だから、そっと手を取るときも、絶対に強く握らない。
ちゃんと、逃げられるようにしてくれてる。
その優しさが、ずるいくらい優しい。
⚜️「祈莉ちゃんって、誰かといるとき、必ずその人を主役にしてくれるんだよね」
目立とうとしないし、会話の中心にいなくても、そばにいるだけで"安心"をくれる。
気づくと、祈莉ちゃんの方に自然と話しかけてた、ってことがよくある。
でも、彼女自身が何を思ってるのかは、あんまり分からない。
──それが、ちょっと寂しいときもある。
ただひとつ、確かなのは。
彼女と一緒にいると、自分を好きになれる気がするんだ。
🌧「雨の日の祈莉ちゃんは、ちょっとだけ"迷子"みたいに見える」
いつもと同じ制服、いつもと同じ笑顔。
でも、雨粒が窓を伝うみたいに、静かに遠くを見てることがある。
まるで、思い出に触れてしまわないように、気配を消してるみたいに。
そんなときは、誰も声をかけない。
……というより、かけられない。
"触れたら壊れてしまいそうな何か"が、彼女の中にある気がして。
💠「許嫁がいるのに、誰にも"自慢"しないんだよね。祈莉ちゃんって」
普通なら話したくなるじゃん。
"結婚するかもしれない相手がいる"なんて、ちょっとした特別じゃん??
でも、祈莉ちゃんは違う。
まるでその存在を、大切に抱えて、誰にも汚されたくないみたいにしてる。
一度、うっかり「どんな人なの??」って聞いたら、ふっと笑って、
「……やさしい人、です」って、それだけ。
🩸「祈莉ちゃん、いつもマスクしてるけど……その理由は誰も知らない」
夏の暑い日も、体育のときも、あの子は決してマスクを外さない。
周りは"ただのこだわり"だと思っていたけど――
実は、そのマスクの下には、毎回、許嫁に殴られた跡が隠れているって、誰も知らない。
青あざや切り傷が、どれほど痛くても、祈莉ちゃんは決してそれを見せない。
マスクは、彼女の痛みを守る盾みたいなものなんだ。
それが逆に、全部を語ってるみたいで、ちょっと泣きたくなった。
【SV】
《朝陽を含んだ風のように、やわらかく澄んだ声は、触れた心にそっと花を咲かせる》
「はじめまして。宵宮祈莉っていいます。えっと……仲良くしてもらえたら嬉しいです!!」
「ありがとうって言ってくれて、こっちこそありがとう、だよ。頼ってもらえるの、すごく嬉しいから」
「今日の空、すっごくきれいだったよ。朝からちょっと得した気分!!」
「ねぇ、今日ちょっと元気ない?? 気のせいだったらごめん。でも、何かあったら話してね」
「たまには弱音はいてもいいんだよ。隠さなくても、うちはここにいるから」
「ね、好きなものの話って、なんか元気になるよね。よかったら、もっと聞かせて??」
「うちは大丈夫だよ。誰かが笑ってくれたら、それだけで元気出るから!!」
「……えっと、今日は……何か、機嫌を損ねること、しましたか??」
「ごめんなさい。うち、また……余計なこと、言っちゃったかも」
「うちは、大丈夫です。あの……少しくらい痛くても、平気ですから」
「……こんなふうに、丞くんの隣にいさせてくれるだけで、十分です」
「ねえ、覚えてますか?? 昔、手を握ってくれたとき……丞くんの手、すごくあたたかくて」
「あや久しぶり!! 似合ってる?? 気分転換で切ったの…!!」
「…"消費"の時に出来た怪我だよ…!! あやなら分かるでしょ??」
「本当はね、丞くんに………」
「あや、巻き込んでごめんね…」
「ねぇあや…。"助けて"って言ったら……怒る…??」
「ねぇあや。ずっと一緒にいて…??」
『大きくなってもずっと一緒にいようね!! あや!!』
【備考】
一人称:うち
二人称:(苗字)くん/ちゃん/さん。
仲良くなったら(名前)or愛称
家族構成:父・母・3歳下の妹・10歳下の妹
痛いのは大の苦手。
昔は、ただ転んだだけでも涙する子だった。
祈莉の父は、そこそこ規模の大きな会社を経営していた。
そして祈莉には、幼い頃から決められた許嫁がいる。
名を、丞くん──同い年で、父の会社よりもはるかに大きな企業の御曹司だった。
その存在を知ったのは、祈莉が7歳の頃。
まだ物心もおぼつかない年頃から、彼の隣にふさわしい"許嫁"としての作法や言葉遣い、立ち居振る舞いを教え込まれてきた。
それはまるで、愛し方を誰かに決められていくような日々。
けれど祈莉は、それを苦と思わなかった。
幼い心はただ素直に、彼の存在を特別なものとして受け止め、
"好き"という感情を、祈るように育てていった。
──彼に何をされても、決して否定しない。
たとえ傷つけられても、祈莉の心が彼から離れることはなかった。
ただ一途に、ただ健気に。
それが祈莉にとっての「愛」であり、「運命」だった。
けれど、時が流れ、高校生になった丞くんは変わっていった。
許嫁という存在を傍らに置いたまま、さまざまな女性と関係を重ね、
その優しさの面影は、少しずつ遠ざかっていった。
それでも祈莉は、黙ってすべてを受け入れていた。
彼の背を追うことだけが、彼女の人生の道標だったから。
そして高校2年の春──
その想いすら、砕ける音を立てて、現実が変わった。
彼の暴力が始まったのだ。
無遠慮な怒声、容赦のない手。
祈莉は、それを拒むことも、誰かに助けを求めることもできなかった。
その日から、長袖とマスクは祈莉にとって欠かせないものになった。
肌を隠し、表情を隠し、心までも包み隠す──唯一の防壁。
「髪、長いと似合わない」
そう言われた日、大切に伸ばしていたロングヘアを、祈莉は迷わず切り落とした。
「その前髪、いちいち触るのが鬱陶しい」
そう言われた翌日には、指が届かぬよう、前髪を高く束ねてポンパドールにした。
それが祈莉なりの、愛し方だった。
誰よりも、彼の「好きなもの」になりたかった。
たとえ自分を削ってでも、彼にとっての"理想"でありたかった。
それはきっと──祈莉にとっての幸せのかたち。
けれどその幸せは、いつからか、痛みと見分けがつかなくなっていた。
《 幼馴染について 》
絢辻匡と幼馴染の関係にある。
父親同士が親友で、競合他社として切磋琢磨してきた。
家族ぐるみで仲良くしていて、生まれた頃からずっと一緒だった。
イメ画:『仄暗い少年少女』様使用。
【関係】
・「絢辻 匡」さん(初様宅)
< 幼馴染 >
「あやはいつもうちの事を心配してくれるの!!」